架け橋

今回は、ニューコムさんの企業テーマにちなんで「架け橋」について書いてみます。
「架け橋」は、海や川で隔てられた地域と地域を劇的に短時間で結ぶことができるタイムマシンです。
筆者は新卒で入社直後、建設コンサルタントという業種の会社に、1年ほど出向しました。
そこで、橋梁の設計業務を間近に見ることができました。

河川に架かる橋
河川に架かる橋を例として橋梁設計の大まかな流れをご紹介します。
まず、河川には「H.W.L」(High Water Levelの略)が定められています。
日本語では「計画高水位」という意味で、洪水時に、ここまで水位が上がりますという標高です。
この「H.W.L」と橋桁下端の間に「余裕高」を確保します。
「余裕高」の確保は、洪水時に流木などが橋桁でせき止められないようにするためです。
「H.W.L」と「余裕高」から導かれた橋桁下端の標高は、橋の桁高を算定する上で重要な条件となります。

橋梁の全体構造
次に、上部構造(橋桁)の選定です。
上部構造は、材質から、鋼橋とコンクリート橋に分類されます。
コンクリート橋には、さらに、PC(プレストレストコンクリート)とRC(現場打ち鉄筋コンクリート)があります。
橋長や架橋環境(平野、山岳部など)によって選択できる形式が絞られます。
また、川幅が広い場合、途中で橋脚を設けることによって、桁高を抑えることができます。
橋脚が橋桁をどのように支えるかによって、連続桁(支点が1つ)と単純桁(支点が2つ)に分かれます。
連続桁は、橋脚上に継ぎ目(エキスパンションジョイント)が出ないので、振動や騒音が抑えられ、車での走行も快適になります。
上部構造形式(上部構造の荷重)は、そのまま下部構造の設計条件になります。
下部構造は、橋台(橋を両端で支える構造物)と橋脚、そして、これらを支える基礎構造です。
基礎構造は、現場の土質によって、直接基礎(支持層に直接構造物を設置)や杭基礎が検討されます。

比較設計
このように、橋梁は、上部、下部、基礎構造が関連し合っていて、その組合せは無限にあります。
その広範囲な条件の中から最適解へ絞り込んでいくプロセスは、比較設計あるいは概略設計と呼ばれていました。
当時は、全体構造(径間数)や主桁材質が異なる組合せを3案ほど選んで比較しました。
経済性(工事費、材料費、塗装などの維持管理費)、走行性(路面の継ぎ目の多寡)、美観などを比較項目とします。
比較設計では、様々なトライアル計算が必要で、コンピューターの能力とプログラミングの工夫が設計の質を大きく左右しました。
比較設計で一番(ほとんど経済性あるいは忖度で選定される)となった案が次の詳細設計へと進みます。
(詳細設計は、施工や積算のための図面作成や材料の数量計算)
公共の構造物である橋梁は、経済性が最も重視されますが、県境などに架かるランドマーク(目印)となる橋の設計では、美観が重視されることもあります。
美観重視の設計では、選択肢がさらに増えて大変ですが、設計者は、より大きな白いキャンバスに絵を描くことができます。
土木設計技術者の働く喜びは「俺が参画した」という構造物が、形になって残ることだと思います。

設計から学んだこと
まず、相手(客先や上司、同僚)に何かを決めてもらう技術です。
訴えたいことのエッセンスは、1ページにまとめたほうが良いことを学びました。
その際、いくつかの選択肢を用意して、相手に選んでもらう方法がベターです。
分厚い資料は、相手を迷わせるだけです。ただし、裏付けとなるデータを必要に応じて提示できないといけません。
次に、コストの考え方です。いまでは当たり前のライフサイクルコストの考え方を体験しました。
メリット・デメリットの定量化をどう論理的に展開するかという発想にも触れました。
例えば、橋の架替工事で片側一車線が通行不能となった場合、「1ケ月の経済損失はいくらになるか?」なんていうクイズみたいな難問です。

さて、今回は、入社当時の思入れが強かった建設コンサルタントの話が中心になり、専門的になりました。申し訳ありません。
全国で活躍する橋梁たちも、基幹システムと同様、老朽化が進み、維持管理の時代を迎えているレガシーシステムです。
dbSheetClient とAIやIoT、5Gを組み合わせて、効率的な管理ができないか、日々思索を巡らせています。

皆さん本日もお疲れ様でした!
おやすみなさい(挙手)