気が付けばDX(2)
IT投資の決断を鈍らせるものは何でしょうか。
情報システム部門「忙しくて無理やで、新しいこと勘弁したってや」
担当役員「あと3年でリタイアやさかい、頼むからジッとしといてくれ」
社長「こんなに金かけて採算とれるんかいな」
それぞれの思惑が一致したところに「現状維持」という素敵な道が開けている(笑)
とある中小企業にて
桜満開サービス(株)
1970年創業の機器保守サービス会社
従業員250名(平均年齢47歳)、関西中心に10拠点
保守要員150名、情報システム部門5名
ある日、社長が担当役員を呼びつけた。
社長「きのう展示会で保守サービス会社向けシステムのデモンストレーションを見たんや。
世の中えろー進んどるな。うちでも使えるか調べてくれんかのー、カタログはこれや」
担当役員「わかりました。情報システムの○○部長に協力してもらいますわ」
社長は、IT技術の知識は皆無だが、経営についての動物的勘は優れている。
忙しい情報システム部門
担当役員「社長から頼まれたんやが、このシステム、うちでも使えるかのう?」
情シ部長「ちょっと調べてみますわ、来週いっぱい時間ください。」
情シ部長は、情シ課長と相談して出入りのITベンダーに見積を依頼した。
<作業報告書の電子化>
作業員が現場で点検結果をタブレット入力
<新機能>
・不具合状況を写真で記録
・異常ありの時に保守部門に通知
・過去の点検結果を併記した報告書様式
<課題>
・顧客の確認証跡
・報告書の提出方法(電子データ)
・社内役職者の確認プロセス
・点検作業者への操作教育
初年度コスト
ITベンダーから見積が出てきた。
初年度費用は、1,500万円(ITベンダーにオンブにダッコに肩車な内容である^^;)
① 開発費250万円(5年で減価償却)
② ハードウェア(端末)720万円/年
(リース料2,000円/月+通信費2,000円/月)×12ケ月×150台
③ クラウドサーバー利用料 240万円/年(20万円/月×12ケ月)
④ 初回社員向け教育 50万円(2時間×10万円×5回)
⑤ 年間サポート費用 240万円/年(20万円/月×12ケ月)(ハードウェア保守含む)
現場からの反発
情シ部長「社長から現場システムの検討を頼まれたんやが、これ使えると思うか?」
保守部長「おー!ハイテクやなぁ~。そやけど、これウチの連中に使いこなせると思うか?」
情シ部長「そうか、かえって時間かかるかもしれんなぁ~。新しいこと覚えるの苦手なヤツばかりやからねぇ~」
保守部長「そもそも、お客さんからサインもらうの紙やからね。そんなら最初から紙でええちゃうか」
情シ部長「やっぱ無理やろな」
業務効率化、コスト削減の限界
担当役員「社長、先日のシステムの件ですが、初年度1,500万ぐらいかかりそうですね」
社長「そないにかかるんか!そんだけ金かけて元とれるんかいな?」
担当役員「見た目はスマートですが、売上アップにはならへんかもしれません」
社長「人件費は圧縮できるんかいな?ほかにメリットあらへんのか?」
担当役員「要員を減らせるほどの効果は見込めそうにありませんね。最初は逆に効率落ちるかもしれへんです」
社長「さよか、ほな、ちょっと様子見やな」
皆さん本日もお疲れ様でした!
おやすみなさい(挙手)
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